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小島智信被告らが収容されていたフィリピンの入管施設=2023年1月28日午前10時2分、マニラ、大部俊哉撮影

 フィリピンを拠点に特殊詐欺を重ねたグループは、月に約2億円を稼ぐほど巨大になった。だが、現地の捜査当局にたびたび摘発されて勢いを失い、その後、強盗事件に手を染める。

  • 【前編はこちら】犯行拠点に12億円で廃ホテル購入 明かされた「ルフィ」たちの興亡

 中核は、4人の幹部だった。

 グループ設立者でリーダーとされる渡辺優樹被告(41)。検察側が「ナンバー2」や「金庫番」だとする小島智信被告(47)。特殊詐欺の標的に接触する「受け子」を集める「リクルーター」の藤田聖也被告(41)。渡辺被告らと行動を共にする別組織のリーダー、今村磨人被告(41)。

 小島被告が法廷で語った内容から、グループの凋落(ちょうらく)を描く。

「金庫番」が語ったグループの凋落

 2019年11月、日本に電話をかけて相手をだます「かけ子」の1人が、フィリピンの日本大使館に駆け込んだ。

 これをきっかけに、フィリピンの捜査当局が合計36人のかけ子を拘束。今村被告も捕まった。

 幹部3人は逃亡しながら特殊詐欺を続けたが、20年、新型コロナウイルスの世界的流行で行き詰まった。

 フィリピンはロックダウンされ、航空便も制限。特殊詐欺で集めた金を日本から持ち込むことは難しくなり、グループの収入は細っていった。

崩壊したかに見えたが… 収容所で再会

 21年2月に藤田被告が捕ま…

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